
午後受験・ネット出願で併願戦略が複雑化しました。
受験学年であればそろそろ考えておきたいところです。
目次
はじめに
首都圏での中学受験は、多くの学校から選択できる反面、その分戦略が複雑になりがちです。
特に併願校の選び方は、合格可能性と子どもの希望のバランスをどう取るかという難しい課題に直面します。
子どもに全落ちという辛い経験をさせず、親子ともに納得できる併願戦略について考えてみたいと思います。
併願校の検討ステップ
1. 持ち偏差値による学校のレベル分け
私はあまり偏差値で学校を区切るのは好きではありませんが、
現実的な合格可能性を考えると、子供にとってのレベル帯を分け、
どのように組み合わせていくのかを作戦立てる必要があります。
その時に、「持ち偏差値」を算出する必要がありますが、
うちは4年前期→後期→5年前期→5年後期と公開模試の成績推移を追っていって、
5年後期の平均偏差値を基準に、6年スタート時点の併願プランを組みました。
ありがたいことに我が家は4年前期から右肩上がりに上昇していることと、
初出単元が最も苦労する(逆に一度やったことはわりと強い)タイプであろうことから、
このまま努力すれば5年後期の偏差値は維持できると見込んでいます。
※もちろんこの先何があるかは分からないので希望的観測も含みます。

逆に、子が「地頭や計算力で4,5年の成績が取れているが、個々の単元習得に真面目ではなかった」場合、6年で下がる可能性を見込むと思います・・・!
仮に併願校を組む際には、この「持ち偏差値」を基準に、
受けたい学校をチャレンジ校・適正校・おさえ校に分類していきます。
※おさえ、とは言っても安全・確実であるとは考えません。
「合格可能性が高い学校」が長いので、便宜上おさえ校と呼びます。
2. 志望校の設定
最も重要なのは言うまでもなく「第一志望校」の設定です。
中学受験の勉強は楽ではありませんが、憧れる学校・行きたい学校があることで、
しんどい時に踏ん張りが効くことも少なくないと思います。
このとき、特に第一志望を親の希望だけで選ぶのは得策とは思えません。
そもそも候補を出す段階である程度の誘導は効かせて良いと思いますが、
オープンキャンパスや文化祭、説明会などに一緒に参加することを通じて
「自分で選んだ!」という実感が、勉強の最中も、終了後も大切だと思います。
また、「第一志望校」だけに賭けるのもかなり危険だと思います。
複数回受験もありますが、受験本番はどうなるか分からない一発勝負だからです。
できれば、「第一志望群」として、同じくらい好きな学校が他に1,2校欲しいですね。

本番がどうなるかは分からないけど、憧れの第一志望を目指してがんばろう!もしダメであったとしても、第一志望群に入ることができれば中学以降も頑張れそう!
こんな気持ちで臨めるとベストなのかなと思います。
3. 入試本番のスケジューリング
首都圏の場合、受験学校数は前受けも含めて平均で8,9校と言われます。
まずは1月校。実際に通えるエリアかそうでないかにもよりますが、
2月本番がダメであったとしても大丈夫!という状態を作れると強いと思います。
そして2月1日からはじまる東京・神奈川の本格スタートの併願プランを組みます。
2/1~3あたりは午前と午後に多くの受験機会がありますが、
詰め込み過ぎても体力・精神力を消耗してしまうので、
午前・午後のダブルヘッダーを何回できるか想定しておく必要があると思います。
この時、全落ちを避けるために、チャレンジ校からおさえ校までバランスよく
配置することが大切ですが、その時の注意点を次の章で整理していきます。
併願パターンの原則
原則1:チャレンジ校・適正校・おさえ校のバランス
最もオーソドックスな考え方です。
第一志望=チャレンジ校のケースも多いと思いますが、
その学校が持ち偏差値よりもかなり高いのであれば
おさえ校をしっかりと配置しておくことが重要です。
第一志望校が子の希望なのであれば、

君の意思を尊重したいし、応援したい。
ただし、持ち偏差値からすると難しい挑戦にはなる。
併願については私の意見も聞いてくれないか。
など、合意を取っておくことも大切だと思います。
原則2:2/2までに合格を獲得する
特に1月に進学許容校を確保できないエリアにお住まいの場合、
しっかりと2/2までに進学許容校の合格を頂くことがメンタル的にも重要です。
ご家庭によっては「ある程度以上でなければ公立」という考え方もありますが、
そうであったとしても2/2まで(2/1のAM/PM,2/2のAM/PMの4回)に合格がないと、
2/3以降の戦いがかなり焦りと不安で苦しくなると考えられます。
結果として高校受験のリベンジを誓ったとしても、後味としてはどうでしょうか。
「やりきったから仕方ない!」という実感があったほうが前を向けそうです。
2/1amに第一志望がくるなら、pmはおさえよりの学校を、
2/2amに第一志望がくるなら、2/1は手堅く、など、
“各校の合格発表時間”を見ながら、1つ以上を確保するプランを組み立てたいですね。
(2/1pm受験だと、当日23時発表などの学校も多いです)
原則3:全落ちを回避する
これを私の考えですが、全落ちを回避することを重要視しています。
数年間がんばってきた勲章を合格という形で可視化してあげないと、
やりきれない思いを抱えたままになってしまう可能性があるためです。
ここも色々な考え方がありますよね。
行かないところの合格を頂いても仕方がない、落ちたら公立!
という考え方も否定しません。あくまでも我が家の考え方です。
全落ちを回避するために必要なのは、
最悪のケースを想定してプランB・プランCを用意しておくことです。
受験料がかかってしまうのは覚悟しながら・・・にはなりますが、
もしかしたら受けるかもしれない学校の出願を広めにしておき、
A校がダメだったらC校までおさえとして受ける!など、
何が何でも1校は受かるようにフローチャートを組んでおきます。
2/4以降はどうしても高倍率になるので、
持ち偏差値が足りていてもちょっとしたミスやトラブルなどで
確実に合格できるとは言いにくい状態にもなってしまうでしょう。
そのため、2番の「2/2までに合格確保」が重要だと思うのです。
納得できる併願にするために
1. 定期/不定期で話し合いの場を設ける
志望校選びの途中経過や模試の結果が出るたびに、
親子で率直に話し合う時間を持てると納得感が高まります。
志望校の目標偏差値は、目標修正の必要はあるか、
併願としてオススメはあるか、子供の気持ちは変わったか、等
子どもの本音や不安に耳を傾けることが大切です。
2. 「入学後、頑張れそうな学校か?」を大切にする
偏差値や難易度だけで学校を選ぶのではなく、
「入学後、子どもが楽しく充実した学校生活を送れるか」
という視点も大切にし続けたいですね。
校風や通学時間、部活動の充実度なども考慮すべき要素で、
子どもがやる気になる学校が併願に組み込まれているか、
いつもこれを考えたいと我が家では思っています。
3. 当日は淡々と計画通りスケジュールをこなす
私が受験生だった時に最も嫌だったのは、
2/1の第一志望がおそらくダメだったであろう夜に、親が動揺していたことです。
親に「これはダメだったね」といったことを言われてひどく落ち込みました。
そのため、娘には試験本番期間中に感情を見せずに、
一日一日をプラン通り淡々と消化していくことを理想としたいと思います。
淡々と過ごすためにも、Bプラン・Cプランも含めて、
あらかじめ綿密な計画を作成しておくことが重要と考えます。
まとめ
私自身が経験したことや、近年の志望校選び・併願プランなどを研究して、
大事だと思われることをまとめてみました。
こちらの本も非常に参考になったので、ぜひご覧になってみてください!
首都圏中学受験の併願戦略では、
子どもの学力と希望のバランス、入試日程の組み方、
そして何より親子で納得できる学校選びが重要です。
全落ちというリスクを避けつつも、
チャレンジする機会を確保することで、
結果に関わらず「頑張ってよかった」と思える受験になるはずです。

受験は長い人生の通過点に過ぎませんので、
親子で納得できる良い機会としたいですね!